教師力
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多様な取り組みの意義と限界 |
現在、日本では教育に関わる論議が盛んであり、社会変化を反映した生徒の変化を背景に、実際に教育現場でもさまざまな試行錯誤が繰り返されていることは、周知の通りである。そうした教育を受けた学生を迎える大学の非常勤講師として働いている身としても、やはり大学以前の教育の状況に無関心ではいられない。
本書は、朝日新聞に2003年4月から2004年4月にかけて連載された記事の再編集・加筆・修正版であり、2004年夏の刊行である。その内容は教師の評価制度、教師を支える場の問題、学力問題、民間人校長、教師の研修、教育実習の変化、教師の引き抜き問題、教育産業の拡大、入試のあり方の変化、国家と教育との関係、規制緩和の波紋、各国との比較など多岐にわたり、また読者の投稿も掲載している。本書の特徴としては、表題の通り教育の現場(主として大学以前)で働く教師の多様な苦悩と試行錯誤に重点を置いた記述をしていること、また上記のような多種の問題について、その意義と限界の双方に目配りをした記述をし、問題の根深さと解決の困難を示唆していることが挙げられる。個別のテーマについては踏み込みが足りなく感じられる面もあるものの、現代日本の教育を幅広い観点から論じ、さまざまな論点を提示しえている点で参考になる。ただ、生徒や親からの視点は相対的に言及が少なく、表題どおり「学ぶ」方より「教える」方が中心の記述である。

