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刑事一代―平塚八兵衛の昭和事件史

刑事一代―平塚八兵衛の昭和事件史 人気ランキング : 120766位
定価 : ¥ 700
販売元 : 新潮社
発売日 : 2004-11
発送可能時期 : 通常24時間以内に発送
価格 : ¥ 700
警察の取調べを味わった人には。

平塚の魅力的なところは、犯罪者を傷ついた一人の人間として見ようと努めているところだ。顕著なのは、彼を名刑事たらしめた「吉展ちゃん事件」のケース。死刑になった犯人の小原保は、足を不自由だった。そして彼は、死刑執行前に平塚に感謝の意を伝えている。私は、あえてこの章をお終いに読んだのだけれども、平塚が小原保の墓を訪れるところで涙してしまった。ここだけで終わる本なら星5つでもよかったと思う。
ただし、真相が明らかになりつつある「下山事件」(平塚は自殺説)や「三億円事件」(平塚は単独犯説)に関しては、名刑事の誇りと直観が災いして事件の真相究明をさまたげた印象を受けた。
さらにいえば、身に覚えのない罪を「白状しろ」と警察に迫られた経験のある身としては、「帝銀事件」を「平沢しかありえない」とするある種の割り切り方には、恐怖を覚える。刑事にとっては、自白してくれた被疑者ほど可愛いものはないのだ。平塚のコメントを読んでいると、平沢の日本画の巨匠としての肩書きが気に入らなかったのではないかと思えなくもない。
こうした弱点は、著者からの明確なコメントがあれば、かなり補えたはずで平塚のコメントをただ取捨選択しただけという内容は、資料としては、興味深いが読後感は、釈然としないものが残る。

犯人をあぶり出す臨場感にあふれた語り

帝銀事件から3億円事件まで、いくつもの事件にかかわった刑事の側から見た犯人の見つけ方、アリバイの崩し方がよく分かる。下山事件などは他殺説の見地から書かれたものが多いが、平塚刑事の視線からは自殺説以外は考えられない。
また三億円事件では、犯人のとった行動などがよく分析されていて、当時の新聞でもここまで検証したものはなかっただろうと思う。またあのモンタージュ写真があまり信用できるものではなく、それが捜査や民間からの情報提供に支障を来たしたとは目から鱗の話でした。
30年前に刊行した本の再文庫化ということだが、昭和史の貴重な証言として☆5つ。

これが早くわかっていたらなあ

 昭和の大事件をあつかうドキュメントの本を読むと、
「平塚八兵衛」
という刑事の名前が頻繁に出てきます。
 興味があって探していましたが、絶版になっていて図書館でもありませんでした。
 先日本屋で平積みしているのを見つけて小躍りして購入しました。
 「落としの八兵衛」
と書かれているので、人情話みたいな内容か…と思って読み始めたのですが、ちょっと赴きが違いました。
 真実に近づくためにどんな作業をして、どんな結果が出てきたか。
 それを、
「誰でも納得できるように説明している」
そういう本でした。
 この人の頭のいいことには本当に舌を巻きます。
 べらんめい口調ですし、上司とやりあった話なんかが挟まれるので、ガラッパチのおじさんの印象ですが、
事件にあたって筋道を浮き上がらせていく様子は
「本物の迫力とはこういうことなんだな」
と、本当に感心させられました。
 「『現場百回』というのも、できるだけ多くの疑問を引き出して、ひとつずつそれをつぶす、そういう意味なんだな。」
 「疑問があったらとことんやれってことだ。」
という言葉のとおり、
事件の現場や、目撃者、身内、遺留品などに、
とことん調査をしていく様子が語られていて興味深いものとなっています。
 平塚八兵衛刑事の理知的な捜査方法や、一つ一つの行動の合理的で緻密な様子が語られています。
 吉典ちゃん事件の犯人が盗んだと証言した「シミモチ」は存在しなかったこと。
 帝銀事件で使われた名刺の出所をあたり128枚行方を捜して東北から北海道をまわり回収したこと。
 下山事件での目撃者の証言の数々
が親しみやすい語り口で説明されていて、迫力があります。
 とくに、興味深かったのが三億円事件でした。
 遺留品のトランジスタメガホンの塗装をはがし、しみじみながめていたらマウスの部分から新聞紙のうっすらとしたあとをみつけた。
文字の配列からサンケイ新聞の43年12月6日朝刊婦人欄「食品情報」婦人欄ということを割り出した。
紙質から大王紙をつかっていることをつきとめ、そこから輪転機をたどって、配達地域を限定した。
という場面など、地道ですが迫力がある捜査の様子がたくさん語られていてどの件もとても興味深いです。
それぞれに現場の状態の図や、脅迫状、新聞掲載の写真などが載っています。
期待していた以上にとても面白い本でした。
再出版に感謝します。

二度と現れないであろう個性派刑事の回想録

この本で扱われている事件、そのものが昭和事件史といっても決して過言ではない。平塚八兵衛の言葉で語られる様々な事件は内部にいたものだからこそ知ることもあり興味深い。ただ「(犯人は)こいつだ」と目を付けてからの執念深い捜査は、現在なら「人権侵害」という声が上がりそうだ。ただ平塚八兵衛はこういうだろう「コロシをした奴に人権なんてねぇ!」と。そういう捜査だからこそ冤罪も発生していたのではないかとさえ感じる。加えて著者はテープ起こしだけをするのではなく、独自の視点も書き加えるべきだったのではないかと思うと、素材がいいだけに口惜しい気がしてならない。

ひとつの歴史として読む価値あり!!

この本に書かれている事件の多くは、テレビなどでも紹介され一度は耳にしたことがあるものであるが、実際に最前線で捜査を手がけていた平塚刑事の言葉で綴られている本書には思わず引き込まれてしまった。
犯人に行き着くまでの過程、アリバイを崩す地道な捜査、犯人から自供を導く巧みな尋問等々が平塚刑事の暖かい話し言葉を通すと凄惨な事件にも和らぐものがあり、歴史物として受け入れることができる。
一読の価値十分にありです。

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